クライミングのプロブレムにはそれぞれ難易度とは別に、
密かに性格みたいのがあって、(とぼくは思っている) 大まかに言うと、ひたすら力で持っていくことが求められるものと、 力の代わりに、バランスや体重移動で対処可能なものとがある。 ぼくは後者が好きだ。 というか、ぼくにしてみれば前者はクライミングではない。 なんか訳のわからん力自慢でしかない。 クライミングは当然力が求められる競技なんだけど、 決して力だけではないはずなのだ。 重心のバランス移動の妙、 どのホールドを使っていくかという創造性、 足のつま先やかかとを自在に使う身体的なしなやかさ、 そういったものを組み合わせて駆使すること、 体の天地左右をなくすこと、 そして、どこかへ到達すること。 これらが魅力なんだとぼくは思っている。とても楽しい。 足の速さだけではなく、ルート設定という創造性、 地図とコンパスという正確性、水や藪や坂や崖に挑む勇気、 そういったものが求められるオリエンテーリングと、 かなり共通しているところがあるとも思う。 ぼくはこの競技も好きだった。 昨日ジムへ行ったところ、新しいプロブレムが設けられていて、 その新しいV0やV1を試してみたところ、全然できなかった。 最近は、垂直壁ならV0は全部、V1も大半はできる、と思えるくらい 調子がよくて頭に乗っていただけに、思わずイライラしてしまった。 そこで、何でだろう、とぼくは考えた。 できなかったプロブレムに共通しているのは、ホールドの遠さと少なさ。 つまり、初っ端から力なしには事が運ばないプロブレムばかりなのだ。 足りない力を、体重移動や四肢を駆使することで克服する、その可能性が無い。 そんなのってありだろうか? ぼくは憤慨している。 こういうマッチョイズムというか、腕力至上主義というか、 あるいは、逃げ場を設けないで自作のルールを大っぴらに振りかざすような、 そういう態度が嫌いで仕方ない。 自分でルールを決めて先に始めておいたゲームに、 同じルールで、ほとんどハンデなしで後進の人たちを加えていく。 だから大抵の場合、最初のうちはとにかく勝ちまくり。 自作でも何でもルールはルールなので搾取とは呼ばれない。 そんな有り様を、ぼくらは資本主義の国際的な拡大に見て取れる。 何言ってんだろう。 とにかくムカついたってことですよ。
by fdvegi
| 2007-07-12 00:30
| 這い上がる
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