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君にはできない

ぼくが抱えていた黒い思いは、たぶん後任者への嫉妬なんだろう。
きっとそうなんだろう。
新しい上司のもと、自由にできすぎることへの嫉妬心。

それと、そもそも侮った態度から始まる感じ。
今もうまくやっている人が、この先さらにうまく行っちゃう予感に目いっぱい舞い上がっちゃって、自分じゃそれに気がついていないから、とにかくもうひどくめんどくさい。
手に取るようなそういう気配。

いや。いや。いや。いや。あー、いや!
とも声に出して言い切れない、その正体とか真の実力とか、そういうところにちょっとおびえていたりもする自分。
そんな自分も嫌だった。

フェアじゃない。
整い過ぎてる。ていうか俺が整えた。
この際あれを言わずにいるか、あれは見せずに去ってしまおうか。
そんなことを正直ちらと考えた瞬間もあって。
それでもう心底ほんとに嫌になった。

何もしなさすぎるおっさんと、
何から何までアピールアピールで得意満面のおっさんと。
そんなことをぐだぐだぐだぐだ考えに考えに考え続けてたら、もう疲れた。
体までなんかおかしくなって。
こういうのってだいたい突然それも複合的にやってくるしさ。
もういいよ。

この何日か、つまり最後の最後の局面で、やりたかった企画を間に合わせたし、次に残していく青写真も描いた。
それらのおいしいところは結局全部持っていかれるわけだけど、そもそも間に合わせたり描いたりするその技量や器量を、ぼくは最初から持ってここに来たのではなくて、ここでいろんな人に作ってもらったんだと、少し満足したことで至った落着きの中で、アァ、不意に思い出した。

だからもうでしゃばるな俺。我を張るな。
愛するいろんな人たちにそっと小さく呪文を唱えて、宣言して、それで終えたい。
あなたが作ったぼくは、たぶんそれはそれで誰にも劣らずに、じつはひそかに、あちこちにけっこう普遍に。
だからここではすべてをここに、次に残します。引き継ぎますよ。

うん。
そう。

きみは気持ちよく行け。
きみにはできない。
だから全部残してやる。

思う存分、得意になれ。
by fdvegi | 2012-09-06 00:30 | 東南アジアなん | Comments(0)
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