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悪い奴ら

いやはや今回のミャンマーはちょっと大変でした。
2004年と2005年にも行ったことがあるんですが、今回はパンチが比べ物になりません。

初日から両替商にだまされる。
100ドル=83,000チャットということで両替えたところ、何と47,000チャットしかない。
(ホテルだと100ドル=80,000チャット)
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意地で36,000チャット取り返すことを決意。
ドル下落と物価上昇で、持っていた予算の価値が予定の6~7割にしかならない感触を得ていたので、もう必死も必死。ミャンマーにはATMもなければどこへ行ってもクレジットカードも使えません。手持ちの現金がすべてなのです。
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2時間ほど案内人を説得し続け、口論をしたりして、粘りに粘って、遂に両替商のボスに会うことに。
場所は路上のお茶屋だったんですが、そこにいる全員が顔見知りだし、第一金を取り返しに来たなんてこと自体がまれらしく、ちょっとざわざわ。
喉は渇くけど出された紅茶は怖くて飲めず、相手の飲んでるものを「試させて」なんて言って喉をうるおす。(この時、全財産とパスポートを持っていた)
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ボス登場。取り巻きもいる。
案内人に説明させてる間もみんなでこっちをじろじろ見てくる。こわい。
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金の受け渡しをした2名を呼び出す。これも携帯電話とかではなく、そこらを歩いている人間に言って呼びに行かせる。その人も一味なんだろうけど。
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2名が来る。ボスが怒る。そして金を返してくれる。意外。
約束は36,000だけど35,000に負けてくれ、と言う。嫌だっけどもう面倒くさいのと怖いのとで良しとする。
この時「奥さんが美人だから特別に許す」と言ったら、案内人が嬉しがって訳す。わりに受ける。
奥さん、意表を突かれて驚きつつも嬉しそう。恥ずかしそうにする感じが可愛らしい。
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やぶれかぶれになって「みんなで飲みに行こう」と言って、ボスと一味を連れて飲みに行く。(内心超びびってる)
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みんなで顔見知りっぽい店に行き、飲みまくる。
金の受け渡しをした2人にもあえて自分から注いでやる。
「怒ってると思ってた」とかとぼけたことを言ってくるので、「友達同士でもけんかはする」などと大人感・大物感をふるまう。
これでざっと12,000チャット。1,200円なんですが地元じゃなかなかの数字です。
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案内人が「ボスに何かあげろ」と言うので、もうやぶれかぶれになってシガレットケースをあげる。
ボス、わりとまんざらでもない表情。
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ボス、はじめて英語で話しだす。
俺たちはもう友達だ。ミャンマーで困ったことがあったら電話しろ、と言って電話番号をくれる。
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解散。解放。
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案内人がついてきて、10,000チャットよこせと言ってくる。
そういえば、説得中に取り返せたら10,000チャットやると言っていたのを思い出す。
面倒くさいし嫌だけど、酔っているのと、ボスに変なことを入れられたら嫌なので9,000に負けさせて渡す。
結局、両替としては100ドルが61,000チャットになった計算で、心から疲れる。

厳しい初日でした。

そして最終日。
バゴーの旅行代理店にだまされた上、大雨に打たれててへろへろになってヤンゴンに帰ってきたところ、路上でいきなりボスに遭遇。
知らん顔で通り過ぎるとそれはそれでまずいと思い、話しかける。
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ボス、超やさしい。
お茶を飲みに連れて行かれ、ビールを飲みに行こうと誘われる。
最終日なんで金はないし、明朝は5時起きなので、今晩は18時までにホテルに帰らなくてはいけない、と言って断る。
ボス、じゃあ今から行こう、と言って結局また飲みに行く。金は出す、と。
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またぞろぞろと一味がやって来る。
奥さん、すんげーやさしい。指差し単語帳で嬉々として会話に努めてくる。胃の調子が悪くて病院に行っているというので、残っていた大正漢方胃腸薬をあげる。
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案内人がまた何かやれと言い出す。
シガレットケースをやっただろ、と言ったら、あれはボスだから今度は奥さんとか言いだす。
奥さん、腕時計を交換しようと言う。
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それは断る。
シガレットケースは家に飾ってある、とか言うので、どうせ売り払ったんだろうな、と思いつつ、本当に何もないので、旅行中に漆器を買ったらおまけでくれた箸を差し出す。
奥さん、意外と喜ぶ。
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今回もまたみんなで飲みまくる。
もうおみやげを買いに行く時間がないことを観念して、そこで売ってるミャンマーウィスキーをおみやげにしようと思い値段を尋ねてみたら、初日に金の受け渡しをした奴が一瓶買ってくれる。
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ボス、とにかく機嫌がいい。
みんなで写真を撮ったりする。
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カメラをくれ。何かほしいものはないか、何でも送ってやる。写真を送れ。
などなど、なんか皆ノリノリで住所をくれたりする。一生懸命アルファベットを描く姿が、なんだかほほえましい。
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(今使ってるのはもう古いし、ネジも一個とれてるし)次に来たときにあげる。今はダメ。と言ってかわす。
住所はとりあえずメールアドレスを教えて、そこに書く、と言ってごまかす。
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ボス、前にくれた電話番号を何度も確認する。ミャンマーに来た時はどこの町にいても困ったことがあれば何でもいいから電話しろ。警察は怖くないし、私兵?もいるし、安心しろ。俺は約束は守る、と言う。
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というわけで、きっかり18時に終了。

そんなこんなのヤンゴンでした。
ボスはなんだか本当に人はいいような感じがしてきました。
心底の一番のワル、そして頭のいいワルは案内人です。
こいつだけは写真に写ろうとしない。ボスが言ってみんなで撮るときも地味に顔を隠すなど、実に巧妙。

流暢な日本語を話します。
インドとミャンマーのハーフです。肌は普通のミャンマー人より黒く、身長は165くらい。
こいつは間違いなく次の獲物を狙っています。
みなさんもヤンゴンにお出かけの際は、くれぐれもこの男にだけは気を付けてください。


ボスと奥さんに写真を送ろうか送るまいか(そこに自分の住所を書くか否か)。
どうしたもんだろう。
by fdvegi | 2011-05-08 00:30 | 東南アジアなん | Comments(2)
Commented by ゆうき at 2011-05-11 11:58 x
旅行中のこういうエピソード大好きです。
Commented by fdvegi at 2011-05-11 23:44 x
我ながら経験としてはなかなか得難いと思いますね。
だからミャンマーはやめられません。
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