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あまり興味がなさそうなトップを抱えることもまた悲惨

トヨタの奥田さんに「スポンサー降りるぞ」と脅されて以来、
すっかり角も何もなくなっているらしいマスコミの厚生労働省扱いが、
ここへ来てさらにヒートアップ(?)している。

今日、テレビを見ていた。
奥さんが重傷を負われた吉原さんを紹介するにあたってのナレーションは、

 ○○年に次官に就任し、○○年に退職。
 その後、財団や機構の理事長を歴任して手腕をふるい続けている・・・

これじゃまるで結婚式の主賓の紹介である。

ほんのちょっと前まで「天下りを繰り返して退職金をもらいまくっている」ことを意味していた
「退官後の財団や機構の役員職の歴任」が、
いまや「手腕をふるい続けて社会に貢献し続けている」立派なお方である。

ここは死人に唾する国ではないし、事件は非道い。
犯人を憎み、被害者を悼む気持ちはこの国のいたるところにある。
ぼくも故人のご冥福をお祈りしている。



印象としてだが、中央省庁というのはかなり浪花節な気質があると思う。
今回の事件が、正誤に関わらず「現在の年金行政への批判」という風に位置づけらたら、
厚生労働省は意地になって、故人の傘を着てむしろ堂々と、ヒロイックにさえ、
「現在の年金行政」をがむしゃら推進してしまうような気がする。

正誤に関わらず、と今言ったのは、つまり、誰も正誤はわからないのことは、
だいたいにおいて世論で当面の正誤を判断するわけだが、
うれしはずかしマスコミさんは、その路線で世間の耳目を集めようとすると思う。
勝手な想像だけど。
そうすると畢竟これは「現在の年金行政」に対する間違った形での批判である、とうことで
いつの間にか落ち着いてしまうだろう。
さらに、「現在の年金行政を変えようとしない」=「卑劣なテロ行為に屈しない毅然とした姿勢」といった単純な図式が刷り込まれ、厚生労働省は祭りあげられる。
一旦そうなってしまえば最後、同省がぐいぐいと意固地になって推し進める年金政策に対してマスコミがチェック機能を果たすとか、批判的視点を織り込むとか、そういう仕草はもはや期待できない。と思われる。

これはつまり、貿易センタービルへのテロを受けたアメリカのマスコミが、
一糸乱れずアフガン侵攻是認へと突っ走った、あの素晴らしき日々がもう一度
この日本で繰り返されるということなのかも知れない。
あな恐ろしや。

アメリカに痛い目を見せてやろう、としたテロは、
その後10年くらいかけて今や、十全にとまでは言わないが、
かなりの結果を生み出しているように思われる。

年金行政を何とかしよう、としたテロは、
残念ながらそれとは逆方向へ、
今まさに、事態を駆り立てようとしている。
そんな気がする。
by fdvegi | 2008-11-19 00:30 | 京都在住 | Comments(0)
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