とりとめのない

のどが痛い。
節々も痛い。
ついに症状が出てきたな、という感じです。

我が家には暖房がない。
エアコンはあるけど、嫌いなので使いたくないんです。

スウェーデンで味わったセントラルヒーティングが忘れがたく、京都で一人CHをしてやろうと思ってオイルヒーターを買うつもりでいたんだが、電気代が無闇にかさむと、ヤフー掲示板で教えてもらってしり込み。そうこうしているうちに麻布テーラーでスーツを極めこみ、万策尽きた。仕方がないのでベッドにミャンマーで買ってきた布を敷いて眠っている。

手織りだが寒い。

ところで、ミャンマーは今も生活のそこここに顔をのぞかせていて、ミャンマーサンダルは特にお気に入り。ブーツカットのパンツに、膝丈くらいのコート、そしてミャンマーサンダル。この取り合わせが今、マイ・モードを熱くしている。渋茶の色合い、レザーの鼻緒、一切の無駄をそいだそのデザインは、この先進国にあってなお一層のクールさを放っている。

とりあえず寒い。

昨日、前の日のサークルOB会の酔い覚ましを兼ねて貴船に散歩へ行って来たんだが、京の奥座敷には清川が流れ、まだ染めやらぬもみじが、細道を寄り添い歩く小旅行のカップルたちを祝福していました。

暖かいものを食べようと思って店に入ると、こじんまりした全席座敷で、いかにも兄弟らしい若い大きな男が二人、驚くほどの物腰の柔らかさで迎えてくれました。川に張り出したような作りからは、眼下に流れを、目の前にもみじを見ることができます。

黒田清輝の絵に出てきそうな白漆喰の壁、薄いガラス、木でできた窓のさんから眺める時、その紅葉は燃え盛る炎のように壮観なのか、それとも空気に染入る澄んだ絵の具のようなのか。

そんなことを考えているとき聞こえてくるのは意外と安易に流れるFMラジオで、それが妙に微笑ましく、集中でも放心でもない、とろけたような時間が過ぎていきました。背中に感じる壁の冷たさ、間断ない水の音、熱いあんかけ、とち餅の甘味。

この秋初の白い息。
鼻緒がこすれる部分はまだ痛い。
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# by fdvegi | 2004-10-18 00:30 | Comments(0)

ぼくの家は海

前々から言おうと思っていたんだけど、うちの玄関は暗い。

部屋に窓が多いだけに、閉じ込められたような一角のその暗さは、世界中の負の部分が年に一回集会でも開いている吹きだまりのような、あるいは、不幸の凝縮が閉じ込められている洞窟へと続く異次元空間の入り口のような雰囲気をかもし出している。

というのも、構造的に部屋の光が届かない上、無駄に凝った蛍光灯が据えつけてあるものだから、スイッチを入れてから反応するまでに30秒くらいかかるし、動くものがなくなるとセンサーが反応して勝手に電気が消えたりするのだ。
家に帰って玄関を開けた時などはまず明かり確保しようとスイッチを押すのだが、暗い中でようやく靴が脱げ、部屋に足を踏み入れた段になってようやく背後が明るくなるわけで、これはイライラする。

だからもうその電気はほとんど使わない。

となると我が家は、ふと振り返るとそこに冥府への入り口が口を開けている、というシャラマン好みの陰鬱空間か、帰宅するたびにどんより暗くてすこぶる気が滅入る、という大変いただけない男の一人住まいに成り下がってしまうのである。

これはいかん。

人類には明かりが必要だ。光のない陰は人を侵しにかかる。俺には光が必要だ。

そういうわけで考えた。

光、光、光、光、、、ろうそく?

だめ。あぶない。その上もたない。

んー。むき出しのろうそくは危ない。だけどアロマランプは?部屋を開けるといい香り。ユーカリ。ベルガモット。ローズマリー。レモングラス。

だめだって。もたないし、危ないことに変わりないもん。

んー。スタンドライト?

だめ。玄関を開けてすぐそこにスイッチがないと意味がない。場所もとる。コードが邪魔。第一でかいモノを増やしたくない。

ていうか。
アロマライトでいいじゃん。コンセントに突き刺したまま使うやつ。あれいくらくらいだっけ?つけっぱなしで危なくないのかな?じゅうぶんに明るいのか?役に立つのか?まいいや、買いに行こう。

欲しいし。

というわけで買ってきた。ていうか買うために考えた。考えるふりをした。

ベルガモットとユーカリのブレンドは海の香り。

もちろん潮の香りや磯の香りではないんだが、これは確かにまさしく海のにおいであって、さらに正しく言及すれば海の中の香りだ。

それも太陽にほだされた水面部分ではなくて、そこからほんの少しだけ深いところに不意に現れる、ひんやり冷えた、その瞬間、頭の中に「真っ暗闇」のイメージが喚起されるあの境界線の感覚。

目を開ければしっとりとした闇に飲み込まれそうになる、だけど見上げると、青く透明なゼリーが、無数に屈折を繰り返す柔らかな光を内包している、そんな場所と時間にいる感じ。

だから好き。水になれそうな気がして、けど、なれないことを重々承知している拮抗と共存が好き。ぼくの家は海。

以来、我が家の玄関はいい。帰宅するとそこには明かりがある。暗さの中に灯りがあるその状態はじゅうぶんに明るいとは言えないが、慎ましやかな常夜灯に迎えられる時、帰ってき甲斐があるなぁ、なんて思ったりもする。

ふと振り返ると、ゆるやかな明かりの中で空間が潤い漂っているような気がする。時々、ひと休みしにそこへ行ってみる。五感すべてに馴染んでくるような薄明かりの中で、ユーカリのツンと冴えた美しさと、ベルガモットの上品な華やぎが、そこなしにやさしく、秘密の海。
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# by fdvegi | 2004-09-17 00:30 | Comments(0)

手をのばしあえば届く

 好きだ
 
 だけど私ではない

 それは前から知っていた

 目を閉じている方が明るい夜だった

 そんな人もいる

 俺が腑抜けにされたんだろうか

 人から聞いた話だが

 あぁ。寂しいさ。

 ここで倒れます

 あけてきたあかりだ

 今のうちにキスしてしまえ

 ちゃんと祝うから

 二度ガツンとやられた (「罪と罰」)

 一人の好きな人たちへ

 疼いている 憩っている

 ここへ来て

 その手は青く見えた

 ここに忘れ物があったのに

 目を閉じると赤い鳥がいる

 やな事なんて何もない

 特技 土下座

 あの星だって寒い

 やさしい星は赤い絵の具になりました

 ハッピー・エンドじゃないけどね

 歌を歌って帰りなさい

 黙ってそうかと言って

 信じるものかと言わせてあげる

 捨てたよ。どちらにせよ君が悪い。

 一人前になったら捜し出します

 美しいからそこにいて

 事情があるんだよ

 花とはいってもあしらいの花

 愛は手の鳴る、方へ

 考えたら死ぬ

 紐のついた腕を切り落とす

 鼻歌泥棒

 これはつまりないまぜの薬 さしてかなしくなく子がいたり

 湯上り 今宵 音花火

 胸のあたりが熱を持つ

 言ってろ

 水に憩い 捕えられ 魚は空へ

 痛みだけが生き物のように溌剌としている

 誰かの嘘だ

 海が行き、砂と砂利、水がたゆたう

 つなぎ目が消えていく

 本物ではない

 木工用じゃだめなんだ

 俺たちは死んではいけない

 現実には在りえても現実的にはなりえない

 紅の色だの蜜の味だの

 重なりあい とろけあっていて 重い

 多分だろうと思っただけだ

 君でも柱

 これが煮詰まればせめて真珠となるのだろうか

 今さらだけど、嫌いじゃない

 鎖骨で泣いた

 彼は手の中の飛行機を花の星野へ着陸させた

 心の中に美しいものがあるか

 それでは さ よ う な ら

 彼にはすべてが快かった

 脚、腰、飛行機。

 どの窓からも湖と白樺が見える

 ずっと自分に夢中だった

 再会する我ら

 そこに光があったことなど誰も覚えてはいないようでした

 とりあえずは終わらせたいと願う

 俺ら素数

 「フィクショニア」

 あなたの旅行はまるで苦行のようでした

 昨日桜が咲いたって

 長い夜にたまった澱や芥など、元々何もなかったのです

 彼女は香りの湧水点だった

 土手に上がったところの、最大の風

 旅は一点を目指していたが、それが何かはわからなかった

 そういえば、といってあなたは笑う

 百年たっても宝石だろう

 故郷の話は、もういいよ

 やっぱり悲しかったんだ
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# by fdvegi | 2004-09-11 00:30 | Comments(0)