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大津市千野の愛宕灯籠

既に大津市山寄りで取り上げた大津市千野ですが、妙に気になって本腰を入れて探してみました。
そしたらすごかった。興奮が止められない。

集落全体の雰囲気が何となく秘め事なのです。
いかんともしがたく、しかし、そこはかとなく密事。
道が細いとか、建物が古いとか、喧噪が無いとか、そういうことにとどまらない風情。
そういうのがビシビシ伝わってきます。
きょろきょろしながら歩いていると、

(略)比叡山延暦寺の第18世の座主良源大僧正が比叡山横川で修業されるのを励ますため、その母妙見尼が横川にいちばん近い今の千野町に一宇を造営して住まわれた。良源は天台座主になっても、こっそり母に会いに来られたのを誰いうとなく「あれは座主が母の乳を吸いに来られるのである。」といったことから、千野の里を垂乳野(たらちねの)と呼びこれを略して「乳野」の字を「千野」の地名に当てたり、千野を「ちちの」とも呼んだりするようになったのであろう。(『わが郷土 雄琴の歴史を探る』より。) 

というようなことが公民館の看板に書かれていました。
むむむ!
文脈とか内容とかを吹き飛ばす、「乳」「大僧正」「比叡山」の迫力。
何たる秘め里!比叡の秘め里!


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頭の上から蒸気が噴き出るような、もうクラクラするような、しかし静寂です。
垂乳根の母が住んでいたという安養院も見てきましたが、すいません、いかんともしがたい囲い感。
先入観もすごい。

といって、しかしすごいのは、あくまで比叡だということです。
頽廃の感も皆無。
むしろ、清廉というか粛然というか、整然たる意志がみなぎるようなどっしりとした押し黙り感。
はぁ~。

ところで、さらりと書いてある「延暦寺の第18世の座主」ですが、調べてみたら、良源大僧正の生没年は912年-985年でした。
軽く千年。
百年の恋なんて吹けば飛んでいくような気がします。




by fdvegi | 2018-02-20 00:30 | 京都在住 | Comments(0)
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