滋賀県大津市の堅田というところです。カタタと読みます。 琵琶湖沿岸の町で、こちら側から向こう岸までの距離が琵琶湖の中で一番せまい場所だそう。 なるほど、今は琵琶湖大橋がかかっていますね。通行料は150円です。 そういうわけで、かなりの大昔から水運や漁業の要衝地となっていたようで、ウィキペディアで見るだけでも11世紀後半には何とかという記載があります。 11世紀というと1000年代ですから、イイクニ作ろう鎌倉幕府の前、平安時代の話です。 平安時代の下鴨神社にフナを納め、代わりに税金を免れていたとのこと。 当時は下鴨神社にあんなところでの徴税権があったことも驚きですが、今の下鴨神社には大炊殿(オオイドノ)という古い調理場があって、神様の台所と銘打って重要文化財になっています。 おそらくその関係で、下鴨神社周りでは、他の地域よりも神饌(神様に収める食事)の種類やその扱いがクローズアップされやすい実感がありまして、その一角を堅田が担っていたというのは、ちょっと感慨深いです。 今も、御蔭祭りの前日に、おそらく神事として「献撰供御人行列(けんせんくごにんぎょうれつ)」なるものが執り行われています。 つまり堅田から下鴨へ魚を運んでいるのです。 やっぱり、それが翌日の御蔭祭りに使われてるんですかね。 昔の京都で魚といえば御食国(みけつくに)若狭の鯖にばかり気を奪われていましたが、京都から最も近い港は、実は滋賀なのですね。 運び方の仰々しさを考えると、神饌の魚はやっぱりフナなのかもしれません。 そんな大昔の話は愛宕灯籠とは何の関係もないような気もするし、いや待て、下鴨神社の辺りも昔は愛宕郡(おたぎぐん)だったな、などとも思ったり。 この辺りでは、正確には愛宕「灯籠」というより、お札箱がより専門的に(?)簡易祠もしくは石祠化し、その祠に灯籠が併設されて、一体として愛宕小社になっている感じです。 同じく滋賀の木戸でもお札箱が神殿化してミニ愛宕を形成していましたが、向こうの方がまだお札箱としての原型をとどめている感じがしました。 それと特徴的なのは、秋葉山灯籠との並存です。 愛宕灯籠とほとんど同じ数くらい秋葉山を祀る灯籠や祠がありました。 281_なんてまんまその象徴的な存在で、堅田全体が愛宕と秋葉の吃水域という様相を呈しています。 それと地蔵尊、特に延命地蔵がやたらと多かった。 平安時代以降も、鎌倉時代や室町時代、戦国時代にかけても延々、様々な紆余曲折があったようです。 有力諸団体に囲まれた有力な街の宿命なのでしょう。 1468年には、比叡山延暦寺から焼き討ちにされ、町のほぼ全域が焼失したとのこと。 今もこうして蝟集する愛宕灯籠郡、それに秋葉灯籠群はその記憶の名残なのかもしれません。 全体として古きよき趣きが残る静かな町並みです。 ちょうど今がぎりぎりという感じ。移行中であって、完成はしていません。この姿であり続けることもありません。 何年か後には、所々に古さも残っている程度の住宅街になっている気がする。 浪乃音酒造の純米酒ええとこどりはおいしいです。
by fdvegi
| 2017-11-10 00:30
| 京都在住
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