職場のお昼休みに走っている。 今出川から丸太町まで行って戻ってくる。 その間の逢瀬。 大きな通りからほんの少し入っただけなのに、大きな通りからまったく目に入らない位置に小さな社がある。 小さな鳥居もあって「弁財天女」と掲げられている。 そして、社の傍らには、屋根の下に小さなお地蔵さんがギュウギュウに並べられている。 ちょっと驚くような眺めだけど、この辺では別に飛びあがるほど奇異というわけでもない。 きっとこの目の前で地蔵盆が行われるんだろう、と自動的に思う。 繰り返しだが、その一隅は大きな通りからはほぼほぼまったく目に入らない。 にもかかわらずそんなところに行き当たったのは、知らない道や細い道に入っては道に迷うのを楽しむのが善だと・妙味だと信じているからなのだが、いかんせん、行き止まりには閉口する。 「道に迷う」のは全然よくても、「行き止まりから引き返す」のはどういうわけかロス感がやたら強い。 しかも限りある昼休みということもあって、ロスを取り戻そうとムキになって走った。 ムキになって走ると軽くトランスな感じになる。 軽いトランスの中で、ふと、「弁財天女」だったな、普通「弁財天」だけじゃないかな、どうだったかな、という思いが走る。 「女」感がぐっと強まる。 そして、ポコポコ林立蝟集した地蔵たちがフラッシュバックする。 小粒な男たちがよってたかって女にすがり、女はそれをどんと構えて包み込む。 何だかそんなイメージが浮かんだ。 んー。いいじゃないか。 何と言っても弁財天だし、金運も上げて、男を上げるに違いない。 むむむー。いいじゃないですか。 再々しつこいようだが、大きな通りからはほぼまったく目に入らないのだ。 にもかかわらず、ふらふらと呼び寄せられたこの引き。引きの強さ。 これはもう仕方ない。 会いに行かなきゃ仕方ない。 というわけで、従来3kmちょいのお気楽ランニングだったのが、以来、山越え谷越え4.5km、お昼の逢瀬に赴いている。 さすがに疲れる。 が、とにかくこの場所は妻にも内緒にしておこう。 弁財天は嫉妬が強いっていうからな。 いやいや、弁財天女だ。 ふふふ。
by fdvegi
| 2017-06-14 00:30
| 京都在住
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