夜のサイド

夏の宵、間遠になってきた蝉の声を聞いていたら、不意にモンユワの夜を思い出した。
かまびすしいほどの虫音、トゥッケーさんの異常にスローな鳴き声、そうでもなかったはずだけど印象として真っ暗だった宵闇。
そして、そのずっと前に行ったメコン河下流の電気とガスのない村。
地平線の向こうに日が沈み、河と空が、墨を溶かした水のように混然となって、夜になった。

バゴーの朝ぼらけ。
インペリアルホテルの足元を、赤い袈裟の小坊主さんが列をなして歩く。
ぼくは隣の茶店に降りてって、甘いお茶に油で揚げたパンをひたして食べる。

食事を終え、妻に代わって、寝入る子どもを胸に抱く。
そっと。動かないように。じっと。静かに、愛おしく、ほほえましく寝息を立てる。
つい今食べていた小松菜のばりばりという感触が不意に思い出される、なぜか。
45度を超えるモンユワの昼間、耐えられなくなってビールをかっ食らった。
テーブルにぎゅうぎゅうと並べられた焼き野菜が原色をガツンガツンぶつけてくる。
また負けだ。もう負け。
結局2度行って、2度負けたモンユワ。

くそ鬱陶しいあの町に行きたい。また行きたい。
夜の音、胸騒ぎ、暗い闇。
不意に横から押され、体ごとガバと奪い取られる。

そういう感じ。
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by fdvegi | 2013-07-27 00:30 | 京都在住 | Comments(0)
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