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白地に感謝

NHKの「カーネーション」が終わった。
最初は何を言ってるのかさっぱりわからなかったオープニングの歌が、紅白歌合戦でちゃんと聞いたところ非常に素敵な曲で、あぁ椎名林檎という人はすごいなぁと思った。

猫ひろしのニュースを聞いて、そんなことを思い出した。
国籍取得なんてちょっとやりすぎな気もするな、なんて思いながら、みんなけっこう応援してたんじゃないかと思う。
少なくとも、ネットで流れるニュースはそんな色合いだった気がする。
ぼくも恐らくそうだった。

で、実際にカンボジアのオリンピック代表に選ばれた途端、風向きが変わった。
辞退すべき?とか言い出した。
メディアは言ってないけど、そういう向きの話題がよく取り上げられている。

あぁ、我々はやっぱり果たされないことへの努力が好きなのだ。本能みたいに。
報われないことへの献身に美を、報われなかった瞬間の真っ白にカタルシスを、覚えるようにできている。
だからきっとマラソン川内選手の選考漏れは、残念感とともに一服のカタルシスをもたらした。たぶん。
一方で猫ひろしは、今まさにクライマックスを迎えようとするその高まりを、あっさりひょうひょうと裏切ってしまった。

真っ白なナース服に真っ赤な口紅という妖艶な姿の女性が、怒りなのか本性なのか不明な表情でガラスを叩き割りながら叫んだ「果たされないことなど大嫌いなの」は、ちょっとしたエロスを隠したとてもスパイシーな言葉だっただけに、そのドキッとするような含意にすっかり魅了されて騙されてしまっていたけれど、その実、その言葉がちらりとえぐりにかかったのは、果たされないことが大好きな我らの底意であって、そのむずがゆさにこそ、あの曲の何ともいえない気持ちよさ、あの人の言葉選びの底知れないすごみがあるんじゃないかって、そんな風に思えてくる。

ドラマのカーネーションで最後に登場したのはきっと料理旅館の奈津で、さらに最後に映ったのは三代にわたる糸ちゃんたちだった。
彼女らのすごみと清々しさに、それを見事に引き出しきり生かしきりえたそのオープニング曲に、実は白々としていると言わざるをえない駐在妻生活をどうにか乗り切る力を妻に与え続けてくれたことに、ぼくとしては感謝という念以外に浮かんでくるものがない。

白地に感謝_c0072352_138375.jpg
花はいいよね

by fdvegi | 2012-04-03 00:30 | 東南アジアなん | Comments(0)
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