水を換える

大学5回生の1月に、サークルの後輩たちとタイムカプセルを埋めました。
10年後に掘り起こそうね、という絵空事めいた約束をつけ添えて。
それから10年、一月おくれで今日、万博公園へ行ってきました。

ここいらだったよね、と10年前に撮った写真と記憶だけを頼りにやみくもに掘り返すも、
一向に出てこないタイムカプセル。それでも諦めずに掘り続けるみんな。

あぁ、熱い。みんな熱い。

そんなみんなをよそに、ぼくは密かに心暗いのでした。
みんな、そんなに頑張って一体何を埋めたっていうの。
みんなはそんなにいいものを埋めたのかい。

5回生の夏に留学先から戻って以降、ぼくは就職先もない。進学先もない。正直いって特にやりたいこともない。ないない尽くしで、焦りと不安にじりじりじりじりあぶり焼き状態で、卒業を間近に控えた1月、もはや人間らしい言葉を思い浮かべることすらできず、仔細を覚えてはいないけど、とにかく我ながらおぞましいほど下らなくて面白くなくて下賤なことを書き連ねた激しい後悔の念だけが鮮明に残っているのです。

それはもはや呪符。呪いの札でしかないのです。
お願い、もう出てこないで!

そんな後ろめたい祈りが通じたのか、2時間の努力もむなしく、みんなの愛と希望に満ちたタイムカプセルは地中のどこかに埋まったまま、掘り出されることはありませんでした。

あたたかい場所でランチを食べていざ帰途についた時、ぼくはまた愕然とした。
ぼくを除く全員が9人中8人までもがモノレールの万博記念公園駅に向かうのです。
え、東口、俺だけ・・・。

一人、歩を進めていくほどに、ぼくは消耗した。
いやもう本当に憔悴した。
乾いた冷たい風にほほの肉をもぎ取られるようだった。

万博公園。
中学生の頃から陸上部の練習で足しげく通い、
大学生の時は児童文学館を利用した愛すべき親しみ深い場所。
だけどそれゆえに、人生にあぶれた頃はバイクを無暗に駆って訪れては、
平日、人気のない東の広場で、だだっ広い野原で、ただ呆然と、ぽつねんと
不安と虚しさをまぶした時間をむさぼった場所。

茨木市。
奨学生の頃は塾に通い、大学生の頃はバイトに精を出した町。
愛すべき町。
だけどそれだからこそ、人生にあぶれた頃、当時大学院生の友だちと、
夜な夜なうらぶれて酒を飲んでは自分を痛めつけてばかりいた場所。

あーもう。
こんなにも愛しいのにね。
ずっと同じ場所に住んでいる人ってすごいなぁ。
ぼくはだめだ。
水を換えたい。
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by fdvegi | 2010-02-21 00:30 | 京都在住 | Comments(0)
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