生い立ちとか知らないけど

BSで上原多香子がイスタンブールでベリーダンスを踊る番組をやっていた。
おかげで寝つきが悪い。

序盤の序盤、上原多香子はベリーダンスについて、トルコについて、イスタンブールについて、
およそ何も知らない風だった。
おそらく本当に、何も知らずに来たに違いない。
「何も知らないので知りたい」という素朴で正直な、言いかえると、
あまりにも子どもじみた心意気を本人がナレーションしていた。

どういう経緯か、世界的に著名なベリーダンサーに弟子入りさせてもらっていた。
そのダンサーが、どうして自分の名前を知ってるのか、と尋ねたら、
「ダンスの先生に教えてもらった」と答えていた。
年齢を聞かれたら「26才」と答えていた。

これはいったい、何なんだ。
見ていて少し呆然とした。

上原多香子の言葉は一貫して、就職活動なんかで同じことを言ったら間髪いれずに
「社会に出る資格なし」の烙印を押されるたぐいの発言ではないか。
というより、26才にしてはあまりに未熟な印象を与える受け答えではなかろうか。
この人、本当にベリーダンスしたいのか?

いや。いいんだ。
別にいいんだ。
芸能人だからいいんだ。
そういう企画だからいいんだ。

そんな風に考えはしたものの、どうもこう釈然としないものが残って、
おかげでとにかく寝つきが悪かった。

本当にいいのか?

NHKがトルコについて事前のレクをせず、
弟子入りするダンサーのビデオひとつ見せず、
ベリーダンスについての資料を渡さずにいて、
ほとんど電波少年的なタブラ・ラッサ、白紙の状態の上原多香子でいさせようとしたんだろう。

うぶで何も知らない感性は高いはずの女の子の成長過程を、
エキゾチックなトルコの町並みと華麗で妖艶なベリーダンスを通して撮る。
そんな出歯亀的か芸術的か知れない野心に満ちた、
挑戦的で総花的な試みだったのかも知れない。

しかしだからといってそれでいいんだろうか。
というか、その野望は成功したんだろうか。
すぐに見るのをやめてしまったからわからないけど、
ベリーダンス自体がロマの踊りという番組内での解説はなんだか皮肉だ。

田舎から出てきた11才の娘が花街の中で大人の女性へ成長していく。
そんな昭和の一代記に相通ずるストーリー仕立てにあって、
不条理にもまれるという決定的な要素を取り除かれた上原多香子は、
それでもなお美しかったんだろうか。
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by fdvegi | 2009-09-14 00:30 | 京都在住 | Comments(0)
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